
明治創業の元銭湯(2019年廃業)で古書とレコードを扱う店「山の湯」(彦根市中央町)が3月9日で1周年を迎えた。
2024年、中央商店街で古書店を営んでいた「半月舎」と東京でレコード店を営んでいた「円盤」が合同で移転し、レトロな雰囲気の中で古書とレコードを楽しめる空間として生まれ変わった元銭湯「山の湯」。元女湯脱衣所が古書店「半月舎」、元男湯脱衣所がレコード店「円盤」、元女湯浴室が「ギャラリーゆげ」となっている。
東京から移住し、半月舎の御子柴泰子さんとともに同店を経営している「円盤」の田口史人さんは「彦根は雰囲気がとってもいい街。それに、大阪からも東海からも来やすい場所だと思う。店には市内・県内・関西圏から来店してくださるお客さまのほか、三重県や愛知県、岐阜県からも足を運んでくださる方も」と話す。
レトロな雰囲気が特徴の築100年以上の同店だが、老朽化による痛みも激しく、最近では雨漏りするところも出てきたという。田口さんと御子柴さんは「古い建物なので仕方ない。できる範囲で改修しながら付き合っていかざるを得ない」と笑顔を見せる。
1周年を記念して、9日には開店記念にも来店した落語家の入船亭扇里さん、桂弥太郎さんによる落語寄席を開催。元浴場の湯船に板を渡して設えられたステージ上で、扇里さんは「紋三郎稲荷」「芝浜」、弥太郎さんは「ちはやふる」「遺言」を披露し、訪れた客を楽しませた。
現在、落語寄席に続き周年イベントを開催している。3月15日には半月出版舎から刊行された「パンダ絵日記」の著者であるYukoNexus6さんと、同書の制作に関わった人が集まり、「おこた」(=こたつ)で行うトークイベント「おこたでパンダ絵日記函づくり&トーク」を行った。
3月20日には、田口さんによるレコード寄席「万博編」を開催。1970(昭和45)年に開催された大阪万博会場で発表された多くの「音楽」に焦点を当て、一般には出回らなかったというそれらの音盤を紹介。加えて、万博後に開催された海洋博(1975年)や科学万博(1985年)の音源などを田口さんの解説とともに楽しむ。開催時間は19時~。参加費は1,500円。
オープン当初より商品数は増え、来店客も増えた同店。山の湯のこれからを「なじみのあるお客さまもちらほら増えてきた。これからも常連さんが増えるような店になれれば」と2人は話す。
営業時間は12時~18時。水曜・木曜定休。