
彦根城博物館(彦根市金亀町1)のリニューアルオープンに合わせて、テーマ展「井伊家と能-大名文化の精華-」が同館展示室1で3月20日から開催される。
室町時代初期に世阿弥によって大成された能は、武家の庇護(ひご)の下で発展し、豊臣秀吉の時代には武家が能を保護する体制が作られた。これを引き継いだ徳川幕府は「能」を幕府の式楽(しきがく=公的儀式の際に行う楽舞)と定めて保護し、幕府に倣って全国の諸藩も盛んに催したことで、「能」は大名とその家臣に浸透し、武家の芸能として定着したという。
彦根藩井伊家でも藩の儀式などで頻繁に能が催された。4代直興が「喜多流」の役者を召し抱えたことが縁で、「喜多流」が浸透。特に盛んになったのは10代直幸と11代直中の時代で、直幸は若い頃から喜多流宗家の弟子となり、謡や舞などの修練に努めた。直中も能を愛好し、喜多流を中心に多くの役者を召し抱えた。1800年には彦根城の表御殿に能舞台が完成し、井伊家の能は最盛期を迎えた。13代直弼は自ら能や狂言を作り、15代直忠は観世流の能を愛好した。
同展では、繊細な彫刻を駆使した能面、染織技術を凝らした華麗な能装束、井伊家伝来の古文書や絵図などを計33点展示し、大名文化の精華である能と大名家との関わりを紹介する。3月22日14時からは、ギャラリートークも開催。
開館時間は8時30分~17時。入館料は、高校生以上=700円、小中学生=350円。4月20日まで。