
せりふに加え、効果音などの音情報も文字で伝える「バリアフリー字幕」付きの映画「こころの通訳者たち」の上映会が4月26日、「プロシードアリーナHIKONE」(彦根市小泉町)で開催される。主催は彦根シネマクラブ「リエゾン」。
同上映会は、「リエゾン」主宰者で彦根市在住の会社員・内堀弘司さんが、「耳が聞こえない人にも映画館で日本映画を楽しんでほしい」という思いから企画したもの。
今秋に滋賀県で開催される「わたSHIGA輝く 国スポ・障スポ2025」で手話通訳のボランティアに参加するため、2年前から手話を学んでいる内堀さん。そこで聾(ろう)の知人から「鑑賞する映画は洋画が多い。字幕がないため邦画は見る機会が少ない」と聞き、聴覚に障害のある人は映画館で邦画鑑賞をする機会が少ない現状を知ったという。
映画が好きな内堀さんは「言われるまで、そんな不自由があることに気づかなかった」と振り返る。聴覚障害のある人が映画館で楽しめる字幕付きの日本映画はないかと調べていくうちに、「バリアフリー字幕付きの映画」を上映(製作)している映画館の存在を知り、「自分もそうした場所を提供したい」と準備を進めてきたという。
初回上映作品は、山田礼於監督のドキュメンタリー映画「こころの通訳者たち」。同作品は、耳が聞こえない人のための舞台手話通訳者の記録を、目が見えない人にも届けようと「音声ガイド作り」に奮闘する人々の姿を追っている。耳で聞くこと、目で見ること、言葉を話すこと、それぞれの「当たり前」が異なる人々が、互いを理解し、それぞれの「架け橋」となろうとする様子が記録されている。
内堀さんは「言葉をやり取りする通訳を追いかけながら、最後には『言葉を超えたもの』が伝わるという、この映画の素晴らしさを楽しんでもらえれば」と話す。「現代では自宅でも手軽に映画鑑賞ができるが、みんなで同じスクリーンを見て、同じ作品を共有する映画館の良さを感じてもらえたら」とも。
団体名の「リエゾン」の名称は、フランス語の「つなぐ・橋渡し」という意味に由来し、「人と人をつないでいきたい」という内堀さんの思いが込められている。今後の活動として、聴覚に障害のある人がより多くの邦画を楽しめるように、娯楽作品など幅広いジャンルの作品を上映したいと考えているという。
内堀さんは「とても面白い映画なので多くの人に見てもらえれば。面白い映画を見たいなと思っている方、耳が不自由な方はもちろん、手話に興味のある人や映画が好きな人も、ぜひ来場いただければ」と来場を呼びかける。
上映は10時30分~と13時30分~の2回。チケットは前売りのみで、料金は800円。オンラインチケットサイトで販売する。上映開始の2時間前まで販売。