
彦根市立図書館(彦根市尾末町)が運行している移動図書館「たちばな号」が巡回を始めて、8月11日で60年を迎えた。
たちばな号は、図書館から離れた地域を中心に市内51カ所を月1回巡回している。1965(昭和40)年8月11日に巡回を始め、今年で60周年を迎えた。現在は車内に約3000冊の書籍を積んでおり、司書が貸し出し・返却や予約本の受け渡しなどのサービスを提供。担当する3人の司書は、巡回先や利用者に合わせて工夫しながら選書している。
2024年度の利用者は延べ3619人で、2万2576冊の貸し出しがあった。過去60年間で約63万人が利用したという。
「たちばな号」の名称は、市民からの公募で最も多く応募があったものを採用した。現在の「たちばな号」は6代目。マイクロバスを天井から足元まで書籍を積めるように改造し、初代の約2倍の書籍が積み込めるという。
先代の「たちばな号5世」は2012(平成24)年3月で役目を終えた後、南アフリカの小学校に送られ、現地で活躍した。
たちばな号を担当する図書サービス係の松本佳代子さんは「暑い中でも巡回を楽しみに来てくれる方や毎月楽しみにしてくれている人もいる。利用する子どもたちの成長も感じることができる。たちばな号を通じたコミュニケーションが生まれ、コミュニティーの場にもなっている」と話す。
久保田雄介館長は「長い歴史の中で、市民の皆さんに期待して利用していただき、ここまで続いてきた。彦根市では図書館が北部に1館しかないので、子育て世代や高齢の方などのためにも必要であり、今後も積極的に取り組みたい」と意気込みを見せる。