啓蟄(けいちつ)の時季の風物詩となっている彦根城内の「松のこも外し」が3月6日、いろは松などで行われた。併せて松の根元部分への酒搾り袋の洗い汁の散布も行われた。
いろは松、金亀児童公園、玄宮園、天守前広場には計約100本の松があり、害虫被害から守るために昨年11月に巻かれた「こも」を外すこの時季恒例の行事。推定樹齢300年以上の松が育ついろは松では、彦根城運営管理センターの職員たちが黒松29本と赤松3本を対象に作業。固定されていた縄をはさみで切り、手際よく「こも」を外すと、クモなどの小さな虫がいた「こも」もあった。
同日午後に散布が行われた「酒絞り袋の洗い汁」は、酒を搾る際の袋を洗うと出てくる乳白色の汁。この汁を樹木の周囲にまくことで土壌が活性化され、樹木の成長に役立つといわれている。彦根城内では1958(昭和33)年から実施。今年は彦根城運営管理センターの作業員たちが犬上郡豊郷町の岡村本家から提供された汁約1200リットルを使い、いろは松と金亀児童公園の松の根元にまいた。
彦根城運営管理センターの宮川敏明所長は「コロナ禍の影響が緩和されるため、今年こそは今日の暖かい陽気のように、多くの観光客でにぎわいが戻ってきてほしい」と期待を込める。