多賀大社(多賀町多賀)で6月4日、「御田植祭(おたうえさい)」が営まれ、早乙女(さおとめ)たちが神田に苗を植えながら五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
多賀大社では1922(大正11)年から執り行われている恒例の祭。今年は氏子や県内の豊年講から選ばれた中学生~大学生の早乙女34人が奉仕した。早乙女は田植女(たうえめ)16人、あぜ道で踊る田踊女(たおどりめ)14人、歌い手のあやめ4人。
本殿で片岡秀和宮司や祭員、奉仕者たちによって五穀豊穣と農事の安全を祈る本殿祭が行われ、早苗司から早乙女たちに神苗が渡された後、一行は列を整えて近くの約10アールの神田へ移動。
神田での田植神事では、早乙女の家族や観光客、撮影者ら大勢の観衆が見守る中、神田を清める「お湯式」が執り行われた。その後、菅笠(すげがさ)、茜(あかね)たすきをまとった姿の田植女たちが、田踊女の優雅な踊りとあやめの美しい歌に合わせて、近江米「秋の詩(うた)」の苗をリズムよく植えた。
孫が早乙女で参加したという女性は「厳かで、とても良かった」と話していた。
今回、植えられた「秋の詩」は9月25日の抜穂祭で約480キロ分を収穫し、多賀大社の年間祭事の供え用に使われる予定。