彦根の洋画家、故・島戸繁さんが暮らしていた居宅とアトリエが「ギャラリー&カフェ然(ぜん)」(彦根市本町2)として生まれ変わり、4月13日にオープンした。
建物は江戸時代後期に建てられた2階建ての居宅と1階建てのアトリエ。島戸さんが亡くなってから空き家となり、神奈川県厚木市に住む娘の三島洋子さんが時折、帰って来て世話をしてきた。
建物があるエリアは江戸時代、「上魚屋町」と呼ばれていて、現在は彦根市の重点景観形成区域になっている。三島さんら家族の「将来にわたり、この家のたたずまいを含め、この地域の景観を残していきたい」との思いを聞いた、地元のNPO法人「ひこね文化デザインフォーラム」が活用を模索。島戸さんが画家だったこともあり、「地域資産の町家を活用し、文化を生かしたまちづくりを進める」との思いから、ギャラリーや交流の場に改装することを決めた。
同ギャラリー&カフェは、画家や美術工芸作家らの作品を展示する「みんなのギャラリー」、市民や観光客たちが交流できる「サロンいっぷく庵」、奥の旧アトリエ部分を活用した「アトリエ図工室」で構成する。
「みんなのギャラリー」はさまざまなジャンルの作品を展示するギャラリーのほか、ミニコンサートや音楽会などのライブ会場としても開放する。「サロンいっぷく庵」では、カフェの座敷や中庭で、抹茶、コーヒー、煎茶、紅茶(以上、お茶うけ付き、400円)を楽しめる。「アトリエ図工室」は、以前のアトリエの雰囲気をそのままに残した空間で、クロッキー教室などを開催する。
同NPOの戸所岩雄理事長は「この場が、『アート』を身近に感じて、日常に取り入れるきっかけになれば」と話す。併せて、市民や観光客、学生や若者たちの新たな交流の場になればとの思いもあるという。「さまざまなジャンルのアートを通して、皆さんの交流の場、互いに刺激し合える場にし、彦根の新しい魅力が発信できる拠点づくりを目指したい」と意気込みを話す。
戸所理事長は「歴史を感じられる場所にある古民家で、アートを通して新たな彦根の魅力を発見、発信してほしい。気軽にお越しいただければ」と呼びかける。
営業は金曜・土曜・日曜・祝日の10時~16時。ギャラリーでは今月29日まで島戸さんと故・小田輝子さんの絵画展を開催。5月以降も書や絵画、写真などの作品展を計画している。