全て手作業で作るシャツ専門店「COMMUNE(コミューン)」(彦根市大薮町)が5月29日で15周年を迎えた。
琵琶湖からほど近い集落に、住居兼シャツ作りの工房(アトリエ)を備える同店。2009(平成21)年、四番町スクエア(本町1)に店を構え、手狭になったことや生活をしながら仕事をしたいとの思いから、2020年に祖父母の家があった現在の場所に移転した。店内にはメンズ、レディースのシャツ、「高島ちぢみ」の製法を元にしたオリジナルの生地を使う「Shibo」の洋服、シンプルなエプロンドレスなどが並ぶ。
久米さんの作るシャツは、デザインや用途に合わせ糸を決め、織り上げる生地選びから始まる。型紙作り、布地の裁断、縫製、仕上げのアイロンがけなど全て手作業で行う。大量生産では難しい丸縫いや繊細な種類のボタン付けなどを施す。「いくつも作ってみては何だかしっくりこなくて商品にしないものもある」と日々の作業を振り返る。出来上がったシャツは、購入後、修理も請け負う。「少しでも長く着られる、心地のよいシャツになれば」と久米さんは話す。
学生時代から洋服が好きで、洋服に携わる仕事に就くのが夢だった久米さん。洋服作りを学ぶため東京の服飾専門学校に進学。洋服の構造などを知るうちに「シャツ」の奥深さに魅了され、シャツ作りに没頭することに。学校で学ぶほかにも京都のシャツ専門店にも通うなどして、地道にシャツ作りの技術を身につけた。「自分の作ったシャツで、心地よく日常を過ごしてもらいたい」と店を持つことが夢になり、卒業後、働きながらもシャツ作りからは離れなかったという。「何年やってもシャツ作りは、難しいし新しい発見がある。その難しさが魅力で作り続けても飽きない」と話す。
15年を振り返り、久米さんは「あっという間の15年。振り返れば、ずっとシャツを作り続けている」と笑顔を見せる。「静かで穏やかなここの風土が自分には合っている。大量生産はできないが、地産地消という言葉があるように、滋賀県や地元の素材を使って滋賀の人たちと作ったシャツを、地元の方たちにも手に取ってもらえるようにこれからも作り続けたい」と意気込みを見せる。
営業時間は11時~19時。定休日はインスタグラムで知らせる。