
フリースクール「てだのふあ」(彦根市京町1)が5月11日、「てだのふあ将棋倶楽部」の設立記念発足会を開いた。
「てだのふあ」には現在約40人の子どもが登録しており、その数は年々増えているという。代表の山下吉和さんは、近年、家にこもっている子どもたちがAI将棋で遊ぶ現状を知り、「家でAI将棋をしている子どもがリアル将棋を楽しめる場を設け、家にこもりがちな子どもたちが外へ出るきっかけにしたい」と、同クラブを設立したという。
同クラブでは、滋賀県初の女流棋士・木村朱里さんの兄で、滋賀県立大学2年の木村亮汰さんが専属講師を務め、将棋を通じた交流と子どもたちの新たな居場所づくりを目指す。
記念発足会当日には、小学生から大人まで地域住民など15人が参加した。冒頭で記念セレモニーが行われ、その後、早速対局が始まった。参加者たちは真剣に盤面に向かい合い、技を教え合うなど、和やかな雰囲気の中で将棋を楽しんだ。
参加した愛知川小学校2年の土井奏太君は幼稚園の頃から将棋が好きで、普段は父親と対局したり、ゲーム機のAI将棋で遊んだりしているという。「将棋ができて楽しかった。次もまた来たい」と声を弾ませた。父親の崇史さんは「近隣で子どもが将棋を指せる場所を探していたところ、偶然、このクラブを見つけた。息子も楽しそうなので、これからも参加できれば」と話す。
講師を務める木村さんは「この場所を拠点に、将棋の面白さを広めていきたい。子どもたちには、将棋を通じて人との触れ合いも感じてもらえれば」と期待を込める。
木村さんのほか、大学生と「てだのふあ」のスタッフもサポートに入り、将棋のルールを知らない初心者にも丁寧に指導できる体制を整える。今後は、対局の場だけでなく、プロ棋士の木村朱里さんを招いたトークショーや対局、公開将棋の解説会、将棋大会などのイベントも企画している。
山下さんは「対局というリアルなコミュニケーションを通して、子どもたちが人とのつながりを感じ、自信を持つきっかけになれば。開催時間内は出入り自由なので、将棋に興味がある子や将棋好きの人は気軽に足を運んでほしい」と呼びかける。
開催時間は原則、日曜の13時~17時。登録制で、料金は1回500円。「てだのふあ」のウェブサイトで開催日を知らせる。