多賀町の「くにうみ醸造所」(多賀町多賀)が12月16日、稼働後に完成した初めてのクラフトビールの提供を始めた。
ブルワリーの様子。全工程を宮下さん1人でこなし、ビール作りに向き合っている
今年8月にパブ「ブリューパブシスル」を併設してオープンした同醸造所。10月に醸造免許を取得し、本格的な稼働を開始。今回、海外の伝統的なビアスタイルを再現した「クラシックシリーズ」(2種類)と、多賀産の素材を生かしたオリジナルクラフトビール「多賀シリーズ」(3種類)のビールが完成した。
クラシックシリーズは「スコティッシュエール」と「ヘフェ・ヴァイツェン」の2種類を用意する。スコティッシュエールはスコットランド伝統の製法で造り、「苦みが少なく、チョコレートモルトのコク、ココアや紅茶のような香りが特徴」だという。ヘフェ・ヴァイツェンは南ドイツの伝統的なビールで、「バナナやリンゴのような香りとクリーミーな口当たりが楽しめる」という。
地元産の素材を生かした多賀シリーズは「高」「玄」「恵」の3種類を用意する(「恵」は12月28日から販売)。多賀町の特産品や風土をビールに表現し、町の歴史や文化から着想を得たネーミングやラベルデザインにしている。
「高」は多賀町産香木クロモジとかんきつ系の香りや風味が特徴の日本原産ソラチエースホップを用いたペールエール。「玄」はロースト麦や多賀産玄蕎麦を使い、深い苦みが特徴の黒ビール(=スタウトビール)。「恵」は多賀米を使ったライスエールで、ネルソンソービンホップを使い、多賀のブドウの香りを表現したフルーティーな味わいが広がる。
ブルワーは、20年以上バーテンダーとしてのキャリアを持つ店主の宮下純さん。オリジナルクラフトビールのレシピから醸造、缶詰も含め全ての工程を1人で行う。
宮下さんは「完成するまで気が抜けずとても緊張していたが、非常にいいビールができた」と話す。「『多賀産』のものを使ったクラフトビールを通じて、多賀の魅力を広く伝えたい。自分が造るビールにはそれぞれストーリーがあり、それを伝えることで地域について深く知ってもらえるきっかけになれば」と期待を込める。
いずれも、パブではたるから提供。ハーフパイント(260ミリリットル)=660円、パイント(500ミリリットル)=1,210円、ピッチャー(1000ミリリットル)=2,400円。缶は、1本(360ミリリットル)=670円、3本セットギフトパック=2,146円。
パブの営業時間は11時~18時(日曜は12時~)。水曜定休。