暮らす・働く 学ぶ・知る

彦根・芹川で「彦根りんご」収穫祭 平成に復活した江戸期の名物、和リンゴ

  • 0

  •  

 「彦根りんごの収穫祭」が8月3日に彦根市中薮町にある芹川農園で開かれ、多くの人が収穫を楽しんだ。

彦根りんご

[広告]

 「彦根りんごは」江戸時代の彦根城下にある農園で栽培されていた一口サイズの小さな和リンゴ。お盆の時の供え物に使われたり、将軍に献上されたりと、江戸時代における彦根の名物だったという。しかし西洋リンゴの普及に伴い昭和30年代ごろに途絶え、味を知る人も少なくなったことから、「幻のリンゴ」と言われるようになった。

 彦根りんごを復活させようと2004(平成16)年、「彦根りんごを復活する会」(後に「彦根りんご保存会」に改名)が発足。会長の八木原俊長さんは「幼い頃に母親と一緒に食べた彦根りんごをもう一度食べたいと思い、活動を始めた」と話す。

 彦根りんご復活の唯一の手がかりは、彦根りんごが描かれている日本画だったという。その絵を頼りに、彦根りんごのルーツを探ろうと八木原さんたちは、青森や石川などの農業試験場を巡って調査した。石川県の試験場で、八木原さんの幼い頃の記憶から、「この味に違いない」という実を見つけたという。その木から接ぎ木をして、2007(平成19)年に現在の場所で農園を開園した。

 収穫祭には、地元の子どもたちを中心に多くの親子連れが訪れた。当日は、彦根りんごを使ったカレーやリンゴ飴(あめ)も振る舞われ、農場では小さなリンゴを「サクランボみたい」と子どもたちが摘み取り、その場で食べていた。収穫を体験した田中千遥さんは「酸っぱかった。採るのは楽しかった」と笑顔を見せていた。

 八木原さんは「みんなの気持ちの中で記憶に残ってほしい。彦根の名前がついているリンゴなので、ずっと伝え続けたい」と話す。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース