「彦根りんごの収穫祭」が8月6日、彦根りんご芹川農園で開かれ、子どもから高齢者までが収穫を楽しんだ。
彦根りんごは和リンゴの一種で、1748年に朝鮮通信使が彦根に宿泊した際に献上されたという記録や、1816年に彦根藩士の石居泰次郎がリンゴの苗200本などを買い入れたとする文書が残る。1897(明治30)年ごろまでは彦根りんごとして有名だったが、昭和時代初めから西洋リンゴの影響を受けて衰退し、昭和30年ごろまでに絶滅したとされる。
彦根りんご芹川農園は2006(平成18)年11月、中薮町西部自治会、旧NPO芹川、彦根りんごを復活する会(現「彦根りんご保存会」)の協力で開園。会や有志の努力により、接ぎ木によって彦根の土地で育ち根ざした「平成の彦根りんご」として復活を遂げた「彦根りんご」12本と洋リンゴ「芹川」3本が植樹されている。
今年は暑さとカラスの食害の影響で育ちが悪く、彦根りんごの実が収穫祭の数日前までにほとんど落下してしまったという。そのため17回目となった今年の収穫祭は彦根りんごの木3本のみで開催されたが、親子連れや近隣住民たち計約150人が来場して収穫した。
子どもたちは「ちっちゃくてかわいい」「おいしそう」などと言いながら収穫。会場の受付では彦根りんご保存会のメンバーらが作ったりんご飴(あめ)やコンポートの振る舞いがあり、子どもたちが試食する姿も見られた。
彦根りんご保存会は今後、収穫した彦根りんごを使ってシードル(リンゴ酒)を造る予定で、将来的には商品化も目指すという。