
ボードゲーム「カロム」の日本選手権大会が6月15日、「プロシードアリーナHIKONE」(彦根市小泉町)で開かれ、県内外から279人が参加した。
決勝戦のみに使われる「黄金のカロム盤」=カロム日本選手権大会
カロムは、ストライカーと呼ばれる持ち駒を指ではじいてパック(的玉)に当て、自分のストライカーと同じ色のパックをポケットに入れていく木製のボードゲーム。自分のパックを全て入れた後、王様であるジャックを先に入れた方が勝ちとなる。彦根市内では「一家に1台カロム盤がある」と言われるほどなじみがあり、幅広い世代に愛されているご当地文化の一つ。
彦根では年に一度、「カロム日本選手権大会」が開催され、1988(昭和63)年の第1回大会以来、今年で36回目。主催は彦根青年会議所と日本カロム協会。大会を「プロシードアリーナHIKONE」で開催するのは今回が初めて。
今年は、シングルス145人、ダブルス67組134人のエントリーがあった。子どもから80代まで幅広い年代が参加し、県内を中心に東は福島県、西は鳥取県からの参加もあったという。
開会式では、同会議所の山田雅崇理事長が「カロムという魅力ある文化をこれからも継承していきたい」とあいさつ。出場の子どもたちによる選手宣誓が行われ、田島一成彦根市長やイメージキャラクター「カロム王子」も応援に駆け付けた。
クラスはシングルス・ダブルス共に年齢別の3部門に分かれ、各部門の決勝戦では彦根仏壇の技術を生かした「黄金のカロム盤」が使われた。
各部門の上位3位には、地場産業「彦根バルブ」にちなんだ鋳物の特製メダルが贈られた。
今大会からは、地元の滋賀大学データサイエンス学部の学生らの協力で、「勝ち点計算システム」を導入。システムを開発した山口堅翔さんは「無事に運用できて良かった。今回見えた課題を来年に向けて改善したい」と話す。
野洲市在住で、シングルス小学3年以下クラスで優勝した吉川瑛翔さん(小学3年)と小学4年以上クラスで準優勝した祐翔さん(小学5年)兄弟は、「放課後児童クラブ」でカロムに出合い、昨年初めて出場したという。「球を入れて勝つのが楽しい。大きな会場で雰囲気がすごかった」と振り返る。
同会議所の夏原大輝副理事長は「子どもも常連の方も真剣にプレーしている。悔しくて涙を見せる子どもを見るとカロムの魅力が伝わっていると感じる」と振り返る。日本カロム協会の安居輝人事務局長は「今年から広い会場で開催できて良かった。今後は市内の方がもっと多く参加する大会を目指したい」と意気込む。