愛荘町の地域おこし協力隊隊員で「村木食料品店」を運営する村木亜弥香さんが6月30日、特産品の「秦荘のやまいも」の規格外で市場に出回らないB級品や日本酒にならなかった酒米などを材料にしたクラフトビール3種の販売を始めた。
村木さんは愛荘町出身。大阪で就職したが、幼い頃から愛荘町について教えたくれた祖父の死をきっかけに「愛荘町の資源を生かして、地域を盛り上げたい」との気持ちが強くなり、愛荘町へ戻り、この春から地域おこし協力隊として活動を始めた。祖父が手かげていた酒米作りなどに携わる傍ら、地元の人たちや生産者と協力しながら愛荘町の魅力を広める活動に取り組んでいる。
クラフトビールは「DIAMOND BREWERY」(近江八幡市)協力の下、何種類もビールを試飲し味を決めて完成した。苦みのあるすっきりとした口当たりの「IPA黒」、岡山県の農家の倉庫で眠っていた「ハレヒメミカン」の皮とサンショウを使い、かんきつの香りが特徴の「みかんと山椒(さんしょう)」、規格外で売ることのできない「秦荘のやまいも」を使った「滑らかさを感じる」という「やまいもラガー」の3種類が完成。ビールには自ら育てた愛荘町産の酒米(=吟吹雪)も使う。
クラフトビールの名前は「リタ」。規格外の破棄されるものが再び商品となって再生するという意味の「Re(リ)」と、酒米や山芋が生まれる田んぼの「田(タ)」を組み合わせて名付けた。
材料となる山芋を提供した秦荘やまいも農家の小泉貴紀さんは「B級品は形が悪いだけで市場には出さないが、A級品と味は同じ。自家消費するしかなかった芋を、新しい視点で商品に使ってもらえてありがたい。『リタ』のビールとともに『秦荘のやまいも』の知名度も上がれば」と期待を込める。
ビールはラベルにもこだわる。6種類のラベルは全国のアーティストから募り、選考を経て採用した。売り上げの一部は採用したアーティストに還元する。村木さんは「この地域の味とアートを楽しめるようになっているので、思い思いに飲んでほしい」と呼びかける。
価格は1,000円。数量限定で、なくなり次第販売終了。注文は、村木食料品店のホームページやSNSで受け付ける。