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彦根で活動する画家が「車夫」デビュー 「世界が広がり、やりがいある」

「亀楽車」新人車夫の仲山さん。普段は画家として活動している。

「亀楽車」新人車夫の仲山さん。普段は画家として活動している。

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 彦根を拠点に画家として活動している仲山拓人さんが9月24日、彦根市内で人力車を走らせている「ひこね亀楽車」(彦根市銀座町)の新人車夫としてデビューした。

(右から)「ひこね亀楽車」代表の中村さんと新人車夫の仲山さん。仲山さんは中村さんを「親方」と呼び慕っている。

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 滋賀県唯一のプロ車夫の中村哲也さんが運営する「ひこね亀楽車」。彦根城天守が見えるスポットや城下町を巡る「彦根城下散策コース」を設定しながらも、乗客の希望を聞き「ちょいのりコース」にも対応している。

 仲山さんは京都出身。大学進学を機に彦根へ移住し、卒業後はホテルで働きながら画家として活動していたが、数年前に適応障がいを発症。療養する日々が続き、自宅から出ることや社会活動をすることもままならない時期もあった。療養生活が過ぎ、少しずつ体調が戻り社会復帰を考えていた頃、「ふと学生時代に見かけていた亀楽車の人力車を思い出した」という。仲山さんは「学生の頃から、親方(=中村さん)が人力車を引く姿を何度か見かけていた。学生時代に実際に乗せてもらったこともあり、かっこいいなあと憧れもあった。挑戦するなら『今だ』と思い応募した」と振り返る。

 仲山さんの熱意が中村さんに伝わり、採用。研修期間を経て、画家としての活動を続けながら、週末のみ車夫として人力車を引く。中村さんは「思っている以上に接客レベルが高く、何より笑顔がいい。これから世界遺産登録を目指す彦根城で、恥ずかしくない接客ができる人材だと思う。将来が楽しみ。車夫として長く活躍してほしいし、いつか彦根の顔になってもらえれば」と期待を込める。

 仲山さんは「自分が人力車を引くとは思いもよらなかった」と笑顔を見せる。「この仕事のおかげで世界が広がり、やりがいを感じている。体調を崩している頃はしんどかったが、その時があって今がある。無理をせず、自分のできることにしっかりと取り組んでいきたい。彦根のことをもっと勉強して、お客さまに有意義な時間を提供できるような車夫になりたい。外国人のお客さまも対応できるように英語も勉強したいし、やるからには極めたい」と意気込みを見せる。

 乗車料金は、「ちょい乗り」(10分間)=1人 1,000円、2人 2,000円、「彦根城下散策」「三成散策」(30分間)=1人 4,000円、2人 6,000円ほか。

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