
ひこね演劇鑑賞会(彦根市尾末町)が6月7日、特攻隊員を描いた朗読劇「月光の夏」の「劇団東演」(東京都世田谷区)による公演を、ひこね市文化プラザ(彦根市野瀬町)グランドホールで行う。
同作品は、太平洋戦争末期の1945(昭和20)年初夏、音楽を愛する特攻隊員の姿を描いた戯曲。原作は、2人の日本兵が鳥栖小学校(佐賀県鳥栖市)にあったフッペル製のピアノで「月光」を奏でたことを、教員だった上野歌子さん(故人)が戦後明かした実話に基づく、毛利恒之さんの同名小説。このピアノは現在も公共施設「サンメッセ鳥栖」に展示されており、子どもたちへ平和の願いを込めた「フッペル鳥栖ピアノコンクール」を毎年開催している。
劇団東演は1959(昭和34)年に旗揚げした劇団で、2003 (平成15)年から「日本の夏を語り継ぐ企画」として全国各地で同作品を上演してきた。
ひこね演劇鑑賞会は、1995(平成7)年に発足した滋賀県唯一の会員制演劇鑑賞団体。会員が会費を出し合い、作品選定から運営までを主体的に担っている。全国的な組織で、国内に104団体がある。
今年は戦後80年という節目の年に当たることから、同会は「平和であるからこそ芝居が楽しめる。平和を尊びたい」という思いと、劇団の熱心な呼びかけに応える形で、同作品を会員以外も観劇できる特別例会として上演を決定。今年3月に会員有志26人で実行委員会を立ち上げ、準備を進めてきた。
同会の事務局長で実行委員の浦美砂子さんは「劇後にはベートーベン作曲のピアノ・ソナタ「月光」全曲が生演奏される。朗読劇の余韻を残したまま客席で思いを巡らしてもらう演出が見どころの一つ。作品のメッセージを十分にくみ取ることのできるピアニストに依頼している」と話す。
実行委員の畠中麻矢さんは「劇団東演が平和への強い思いで大切に上演を続けている作品。平和とは何かを自身に問いかける、そんな機会になれば。演技力に長(た)けたプロの役者とピアノの生演奏。これ以上ない舞台に期待いただければ」と観劇を呼びかける。
13時30分開場、14時開演。上演時間はピアノ演奏を含め1時間35分。入場料は、一般=2,800円、学生=1,000円。チケットは同会事務局、ひこね市文化プラザチケットセンターで販売。当日も受け付ける。