彦根城博物館(彦根市金亀町1)で現在、「国宝 彦根屏風(びょうぶ)」が特別公開されている。
彦根屏風は6曲1隻の縦94センチ×横271センチの大きさで、国宝の指定名称は「紙本金地著色風俗図(彦根屏風)(しほんきんじちゃくしょくふうぞくず(ひこねびょうぶ))」。制作時期は寛永年間(1624~1644)。近世初期の風俗画の傑作品として、制作された江戸時代から高く評価されてきた。金地に当時の京都・六条三筋町の遊里(ゆうり)が描かれており、人物の髪の生え際や衣装文様、布の光沢なども細かく表現。たばこや洋犬のペット、三味線、双六(すごろく)なども登場する。
登場人物のどこかうつろな表情について、彦根城博物館担当者は「寛永年間という自由のない時代を憂いている当時の人々の心理を表しているのでは」と説明。一方で、人物の髪や衣装の文様などの描き方について、「その細かさは精緻(せいち)を極め、尋常ではないこだわりがあり、生々しさをも感じる。人物の配置など考え抜かれており、その構図の見事さが高く評価されている」と話す。
彦根屏風は江戸時代後期に彦根藩十二代・井伊直亮が購入した。1955(昭和30)年に国宝に指定され、1997(平成9)年に彦根市が取得し、2006(平成18)年から翌年にかけて保存修理した。
彦根屏風を模した作品やアレンジ品も後世に多く描かれており、今回は江戸時代前期に描かれた屋敷の中と庭先で遊んでくつろぐ男女11人を描いた「邸内遊楽図」(縦79.5センチ×横40.5センチ)も展示している。
開館時間は8時30分~17時(入館は16時30分まで)。彦根城博物館のみの観覧料は、一般=500円、小中学生=250円。5月16日まで。