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彦根麦酒、産学連携クラフトビール「志成」を限定販売 地元産酵母使う

(左から)向由起夫教授、宮尾悠生君、水野華織さん

(左から)向由起夫教授、宮尾悠生君、水野華織さん

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 クラフトビールの醸造所を経営する「彦根麦酒(ヒコネビール)」(彦根市石寺町)が5月2日、長浜バイオ大学、河瀬中学校・高校科学部と産学連携し発見・開発した彦根産の酵母「彦根麦酒酵母K-21」を使ったクラフトビール「志成(しせい)」を限定販売する。

産学連携クラフトビール「志成」=彦根麦酒

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  同社は空き土地の有効活用、地域活性化に向けたプロジェクトによって2019年に誕生。2021年には自社醸造所となる「荒神山醸造所」をオープンした。地元の材料を使い地産地消の彦根ならではのクラフトビール造りに取り組む。大麦麦芽、ホップ、水、副原料、酵母全てを彦根産で統一した「ALL HIKONE BEER」の開発を2020年から目指している。

 今回使った酵母は、2021年5月下旬に河瀬中学・高校科学部が彦根城内の敷地内でサンプル採取を行ったところ、キノコから発見した。酵母を発見した河瀬高校科学部副部長の宮尾悠生さんは「好奇心でキノコを採取してみたら、そこからぴったりの酵母が発見されて驚いた」と笑顔を見せる。同社と共同研究契約を結び、彦根産酵母の分離研究を行う長浜バイオ大学フロンティアバイオサイエンス学科の向由起夫教授によると「ビールに使われる酵母は果実や花で発見されることが多く、キノコから採取されることはかなり珍しいこと」という。

 採取された酵母は「彦根麦酒酵母K-21」と名付けられ、ビールの製品化に成功。彦根産の酵母を使った商品は今回が初めてとなる。製品名の「志成」は河瀬中学・高校の校訓にもなっている言葉で同校の科学部の部員達が考案した。「志がある者は何でもできる」という意味を持ち、中国の後漢書に由来している。宮尾さんは「今回発売されるビールは科学部が共同研究の際に発見した酵母を使った。皆さんに私たちの活動やビールづくりに関わった方々の大志を少しでも感じていただければ」と話す。

 彦根麦酒の水野華織さんは「たくさんの人の力がなかったら実現できなかった。協力してくれた人のために今後も「ALL HIKONE BEER」の実現に向けて努力していきたい」と意気込む。

 価格は880円(税込)。彦根麦酒荒神山醸造所(彦根市石寺)で40本限定販売。今後は定番化にするため、本仕込みでの醸造も検討する。

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