彦根の本庄町と新海町の畑に定植した綿花「おうみこっとん」の収穫が9月下旬、始まった。
「おうみこっとん」は、綿作りを通して人の輪を広げる活動に取り組む「おうみこっとん夢つむぎ」が作る彦根産の綿花。「おうみこっとん夢つむぎ」主宰の澤とし江さんの理念に共感した彦根のセレクトショップ「おんど en no youni hirogaru」の福田弘治さん夫婦が、本庄町と新海町にある畑での綿花の栽培を引き継ぎ、育てている。5月下旬には定植イベントも開いた。
定植後、福田さん夫婦、有志の人たちが、除草剤を使わないで草刈りをしたり、水やりをしたり、支柱を一本一本立てたりするなどして綿花を育ててきた。8月に花が咲いた後、実になり、9月に入ると実がはじけ、ふわふわの綿花が枝についた。今年は背丈が低いが、例年並みの収穫量が見込めるという。
収穫した綿花は1週間ほど陰干しした後、種を取り除き糸に加工する。資金のめどが付き次第、紡績工場で綿繰りや紡績を行うことを目標にしている。現在、収穫した綿花から種を取り除く「綿繰り」の手作業を通して、地域の老人ホームの利用者と交流を図っている。
収穫作業には、地域の子どもたちをはじめ、インスタグラムで収穫作業を知った家族連れが参加することも。9月28日に本庄町の畑で行った収穫作業では、10キロほどの綿花を収穫できた。参加した長濵賢太郎さんは「ふわふわとした手触りや収穫時の感覚が面白い。無心になって収穫した。収穫できる期間内にまた参加してみたい」と話していた。
福田さんは「普段何気なく着ている服も、糸になるまでにとても手間がかかっている。おうみこっとんの収穫を通じて身に着けているコットン素材の服は、畑でとれる植物から糸になっていることを子どもたちに知ってもらえれば。いつか、服の原料となる『糸の生産者』の顔が見える服作りをしたい」と話す。
綿花の収穫は年内いっぱいまで続く。福田さんは「なかなかできない体験なので、大人も、子どもも、ぜひ綿花収穫を体験してもらいたい」と呼びかける。
収穫体験はインスタグラムで随時、募集する。