器から日本の食文化を考えるワークショップが3月2日、「やさいの里あいしょう館」(愛荘町市)のオープンキッチンで開催された。主催はJA東びわこ。
講師を務めたのは、彦根市内でメロンやトマトを栽培する辻岡逸人さん。器を大切にする日本の食文化や、そうした食文化を守っていくことの大切さについて話した。
「普段の食事で、取り皿やスプーン、おわんは共用なのに、ご飯はなぜ『自分専用の茶わん』を使う人が多いのだろう」という疑問から、日本の食事の歴史や食器について興味を持ち、調べることにしたという辻岡さん。ワークショップでは、「自分の茶わんでご飯を頂くのはまさしく『日本の食文化』。その文化を守ることが米や農家を守ることにつながるし、特別な茶わんを作ることが増えれば、陶芸家を支えることにつながる」と話した。
参加者は辻岡さんの話に真剣に耳を傾け、辻岡さんが持参した茶わんの説明を聞いたり、質問したりする様子が見られた。終盤では、各自が用意した「お気に入りのご飯茶わん」で、昨年秋に販売が始まった近江米の新品種「きらみずき」を試食。彦根市から参加した40代女性は「普段あまり意識していなかったが、自分のお気に入りの茶わんで食べる米は、よりおいしく感じる」と話していた。
辻岡さんは「農家として気付いた日本の食文化、ご飯を食べること、器を選ぶことの楽しさと大切さを皆さんと共有できた良い時間だった」と振り返る。