「暮しの手帖」元編集長でエッセイストの澤田康彦さんの著書「この家で死にたいと母は言った 親を自宅で看取るということ」(集英社インターナショナル)の刊行記念トークイベントが7月4日、東近江のギャラリー・喫茶「genzai(ゲンザイ)」(東近江市五個荘川並町)で開かれた。
「この家で死にたいと母は言った 親を自宅で看取るということ」(写真提供=多田麻美さん)
40人の枠は午前・午後の2回とも満席となった。トークショーは同書にも登場する、訪問看護師の小森富美江さんとの対談形式で進行した。小森さんは、母・久子さんと親しかった看護師で、現在は訪問看護ステーション「レイクナーシング」(彦根市新海浜1)の管理者を務める。
同書は、東近江市の実家に一人で暮らしていた久子さんの在宅介護と看取りをつづった3年間のエッセー。久子さんは91歳のとき、耳下腺にできたがんが見つかった。「自分の家がいい」と、住み慣れた家で最期を迎えたいと望んでいた久子さんの思いを受け、介護や医療の知識がなかった澤田さんは、訪問看護師やホスピス医、ヘルパー、幼なじみの歯科医らの助けを借りながら、家族ぐるみで久子さんを支え続けた。
同書を執筆した思いについて、澤田さんは「介護を穏やかに進めるためのガイドブックではなく、死に向かっていく母と、その家族がどんな反応を見せ、どんな面白い言動をし、そして、どれほど生き生きと過ごしていたかという『生き様』を記録したかった」と話す。
当日は、実家での様子や久子さんの写真を見せながら、当時の日々を振り返った。久子さんとの思い出話しや家族団らんの様子などを明るく語った。(久子さんの介護のため)同居をしてからの様子や緩和ケアなどについても語り、小森さんは、介護制度や在宅介護をする上での緊急対応の体制などを実務の立場から語った。澤田さんの軽妙な語り口と小森さんとの明るいやり取りで、会場は終始和やかな雰囲気に包まれた。
彦根市内から参加した女性は「あるあると思うこともあり楽しく、勉強にもなった。家族と会話をたくさんしようと思う」と話していた。
澤田さんは「在宅での介護は大変だが、助けてくれる人は実のところいっぱいいるし、制度もある。介護について早い段階で事前に学び、知っておくことは大切」と話す。「母は甘え上手で、そのおかげでいろいろな人に支えてもらえた。甘え上手になることは大事」とも。
対談終了後は30分ほどのサイン会が開かれ、多くの参加者が澤田さんの著書を手に列をつくった。