彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」が、2006(平成18)年の登場から4月13日で20年を迎えた。当初は「国宝・彦根城築城400年祭」を盛り上げるための、わずか1年限りのイベントキャラクターとして誕生。ところが予想をはるかに超える反響を呼び、やがて2000年代後半に巻き起こった「ゆるキャラブーム」の火付け役とも称されるまでになった。

その後、彦根市の公式キャラクターとして活動の幅を広げてきた「ひこにゃん」。登場から20年たった今でも人気が衰えることはなく、今でも「ひこにゃん」が登場すると、多くの人がカメラを向ける。そんな「ひこにゃん」が人々を引き寄せる魅力は何なのか。過去の写真とともに、この20年を振り返った。
目次
| 1.2006年 1年限りのキャラクターとして誕生 |
ひこにゃんは当初、翌2007(平成19)年に控えた「国宝・彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターとして誕生した。2006(平成18)年1月にキャラクターを公募し、数ある応募の中から選ばれたのが「ひこにゃん」だった。
しかし当初は、あまり反響は多くなかった。新しいキャラクターができたことが少し知られている程度だったという。

初めて登場した頃のひこにゃん(彦根市提供)
| 2.メディアが注目、来場者が急増 |
客の前に登場するようになった「ひこにゃん」は、最初の役割である「国宝・彦根城築城400年祭」を盛り上げようとPR活動を行った。当時お世話係を務めた彦根市職員によると、最初は「ひこにゃん」を見ようと訪れる人はごく少数だったという。
PR活動を続けるうちに、活動の姿がメディアに取り上げられるように。すると次第に「ひこにゃん」を囲む客の数が増えていったという。

「国宝・彦根城築城400年祭」を盛り上げるひこにゃん
当初、彦根市は「国宝・彦根城築城400年祭」において「彦根城来場数40万人」を目標にしていた。しかし、ふたを開けてみると目標を大幅に上回る70万人が訪れる結果となった。
イベント終了を前に、「ここでイメージキャラクターとして終わらせることはもったいない」という声が上がり、翌年開かれた「井伊直弼と開国150年祭」のキャラクターとして存続。そこでも人気は衰えず、ついに彦根市の公式キャラクターとして認定されることになった。
| 3.全国・海外へ 活動の幅が広がる |
公式キャラクターとなった「ひこにゃん」は、彦根だけでなく、市外や滋賀県外のイベントへも積極的に出張するようになり、中でも東京・日本橋の高島屋で出演した際は多くの観客を集めた。
「ひこにゃん」の活躍はとどまるところを知らず、ついには海外にも進出。2009(平成21)年にはハワイの街をパレードした。一緒にパレードしたのは当時の彦根商工会議所会頭の故・北村昌造さん。北村さんは翌年発足した「ひこにゃんファンクラブ」の初代会長も務め、「ひこにゃん」と共に各地でPR活動を行ったという。

自身に発行された特別住民票を受け取るひこにゃん(彦根市提供)

初めての海外出張となったハワイでのパレード。右が故・北村昌造さん(彦根市提供)
| 4.ひこにゃんが大好きなものとは? |
当初は週4回だった登場回数が、2013(平成25)年からは毎日登場するようになった「ひこにゃん」。その他にも市内外のイベントに出張を続ける「ひこにゃん」には一つのルールがあるという。彦根市エンタテイメント課の山本さんによると、「ひこにゃん」は複数の場所へ同時に登場することはなく、登場するのは必ず1カ所だけ。「次に登場する場所へは瞬間移動をしている」という。白色の猫であるが故、お世話係も汚れや毛づくろいに気を使っている。

餅つきをするひこにゃん
山本さんも「ひこにゃん」のお世話係をすることがある。「長年の連れ添いといったイメージ。態度で示してくれるので分かりやすい」と語る山本さん。
「ひこにゃんが食べることが大好き。何でも自分が食べようと近寄っていく。イベントでキッチンカーが出ていたときもすぐに寄っていく」(山本さん)と笑顔を見せる。ほかにも、「ひこにゃん」は「お客さまのことが大好き」だという。
「『かわいい!』と写真を撮ってもらえるのがうれしいようで、私が『ひこにゃん、もう帰るよ』と言っても、ずっとお客さまのそばを離れたがらない」と山本さん。
そんな「ひこにゃん」の元には毎年、正月になると大量の年賀状が届く。さらに翌月のバレンタインデーには多くの菓子が送られてくる。今年のバレンタインデーでも、大量の贈り物を前に心を躍らせていた。
| 5.ひこにゃんのお悩みごと そして優しい心 |
毎年たくさんのスイーツやプレゼントをもらう「ひこにゃん」。そんな「ひこにゃん」にも悩みがある。それは「ひこにゃん」の「もっちりボディー」。毎年届くバレンタインデーの贈り物を前に全部食べようとする「ひこにゃん」に対し、「もっちりボディー」を気にする周りのお世話係が心配しているという。
そこで、数年前から「ひこにゃん」は、任意団体「フードバンクひこね」を通じて、彦根市内の子ども食堂や子どもの居場所にお裾分けしている。優しい心を持った「ひこにゃん」は、子どもたちにも仲よく分けようと考えたそうだ。

贈り物をもらうひこにゃん
| 6.次の20年へ。チャレンジを続けるひこにゃん |
絶大な人気を誇った「ひこにゃん」だが、登場から10年ほどは、それぞれ異なるポーズをした、3点のイラストのうちのどれかしか使用できず、イラストの使用には厳しい制限もあった。
2017(平成29)年に新たなイラストが追加され、初めてにっこりと笑う笑顔が採用された。その後もさまざまなイラストが追加され、現在では30点以上のバリエーションが用意されている。
2018(平成30)年にはLINEスタンプも制作。その後はユーチューブチャンネルやインスタグラムが本格始動し、昨年はNintendo Switchのゲームにも登場。今までよりも広く、「ひこにゃん」は活躍する世界を広げている。
2023年に公認ライバルキャラクター「わるにゃんこ将軍」が登場した。おっとりしたひこにゃんとは違い、少しいたずらっ子な一面を持つ「わるにゃんこ将軍」。流行の曲に合わせてダンスを踊ったり、ドラムを演奏したりと、多才な一面も持つ。「ひこにゃん」も、そんな「わるにゃんこ将軍」に負けじと頑張っているのかもしれない。

2023年に登場したライバルの「わるにゃんこ将軍」
2026年3月28日、この日開かれた彦根映画祭では、「ひこにゃん」は映画の撮影にも挑戦。映画に出演するのは2度目だが、この日撮られていたのは「ひこにゃん」が主演を務める映画で、俳優の小澤真利奈さんとも共演。撮影後は、撮影した映像を一緒に見入っていた。

映画の撮影に挑むひこにゃん
この日もお世話係をしていた山本さんは「今まで『ひこにゃん』のことを知らなかった人にも知ってもらえる機会をつくりたい。今まで行ったことのない所など、全国を巡りたいとも考えている」と話す。
登場から20年たっても今なお、多くの人から好かれる「ひこにゃん」。そんな「ひこにゃん」はどんな人が好きか聞いてみたところ、「みんな大好き」と鈴を鳴らして教えてくれた。