「彦根りんご」の収穫祭が8月2日、彦根・中藪町の彦根りんご芹川農園(彦根市中藪町)で行われた。
彦根りんごは和リンゴの一種で、江戸時代ごろから栽培されていた。お盆の供え物に使われたり、彦根藩主の井伊家や徳川家に献上されたりした記録もあるという。庶民には食べられないような高級品だったが、1816年には彦根藩士が農園を開くなどして栽培していた。しかし明治に入ると洋リンゴが輸入されて普及し、彦根りんごは1955(昭和30)年ごろに一度途絶えた。味を知る人も少なくなり、いつしか「幻のリンゴ」と呼ばれるようになったという。
「彦根りんご保存会」の八木原俊長会長は、彦根りんごを復活させようと、2004(平成16)年に会を発足。八木原会長が母親と一緒に食べた記憶と、彦根りんごが描かれた日本画を頼りに、岩手や石川など全国の試験農場を巡って、彦根りんごの味に近い和リンゴの標本木を探した。「この味に違いない」と感じる標本木が見つかり、「彦根りんご保存会」が2007(平成19)年に彦根りんごを復活し、現在の場所に農園を開いた。農園が開園してから、この時期に収穫祭を行っているという。
収穫祭に参加した人たちは、園内にある木々を揺らしたりしながら彦根りんごを収穫した。収穫祭では、収穫のほか、彦根りんごに関するクイズラリーの開催や、彦根りんごのリンゴあめを提供。彦根りんごの味について、参加した小学3年の女児は「普通のリンゴとちょっと違う」と話していた。
収穫祭は今年で20回目を数える。20回目を記念して、彦根市立金城小学校の3年生児童による、彦根りんごの木の植樹が行われた。八木原会長は「ここまでやって来られたのはたくさんの人の協力のおかげ。多くの子どもたちの記憶に残っていくのがうれしい」と振り返る。